概況炎上91件、約68%の大幅増(前年同月比)
9月のネット炎上件数は前年同月比68%増の91件となりました。昨年度(54件)を大きく上回る結果です。不適切な発言・行動に対する批判が依然として多く全体の51.1%を占めました。また、政治家による発言・SNSへの投稿文からの炎上は全体の17.0%と高く、特に火種となりやすいことがわかります。その他で目立った内容は、企業の品質管理への批判が14.8%、エンブレム問題など東京オリンピックを含めた行政施策への批判が13.6%を占めました。東京オリンピックや安保法案など全国民の興味関心をひくテーマが多く、炎上数も大きくなったものとみられます。
TOPIC大阪府堺市の職員、68万件も個人情報を持ち出し既に流出しているとして炎上
個人情報を流出させた大阪府堺市の職員は、自作で開発したシステムを外部に売り込むために不正に個人情報を持ち出し利用していました。情報がインターネット上で公開状態になっており、外部に流出していることがインターネット上のサイトやブログで告発され、炎上に至りました。
<解説>
この炎上には2つの側面があります。
マイナンバー制度開始に伴う話題性
現在、マイナンバー制度開始に伴い、個人情報の取扱いに関しては非常に注目度が高いです。「炎上」に至る背景は様々ですが、個人情報や情報漏えいといった話題性の高いものに関連すると特に火種となりやすい傾向があります。たとえば会社でSNSを運用する際にも、話題性の高いものにはよりいっそう注意を払うことが必要です。
事後対応のスピード
この炎上の場合、個人情報が流出しているという匿名の通報から調査内容の公表までに2か月以上の時間を要しています。炎上に至るかどうか、その後の評判に影響するかどうかは、早急な対応にかかっています。そして早急な対応とは、24時間以内を指します。まず、匿名で通報を受ける時点で遅れが出ています。これは普段からインターネット上を監視しておくことで防ぐことが可能です。また、有事に備えて危機管理体制やルールを決めておくことも重要です。万が一情漏えいが起きたとしても、即座に検知し、早急な事後対応を施すことで企業や組織の価値の毀損を最小限にすることができます。
監修清澤 秀彰(ソーシャルリスクアナリスト)
東京大学法学部卒業後、株式会社エルテスに入社。予防ソリューショングループで数多くの案件のリスク分析を行う。特に炎上案件の分析を得意とする。
炎上月次速報レポートについて
炎上月次速報レポートは、リスクに特化したビッグデータ分析を得意とする当社が、前月のネット炎上件数を独自に算出し発表するマンスリーレポートです。本レポートを毎月公開していく事で、企業や社会が抱えるデジタルリスクへの意識喚起を行ってまいります。
- ネット炎上
- ツイッターで50回以上のリツイートがされ、特定のまとめサイトにまとめられたものから、当社が“炎上”としたもの
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担当:藤田