概況炎上116件、約33%の大幅増(前年同月比)
10月のネット炎上件数は前年同月比33%増の116件となりました。昨年同月件数(87件)はエボラウィルスの流行という世界的に大きな注目を浴びるニュースがあったため他月と比べて大きく盛り上がっていましたが、本年10月度はそれを上回る結果です。不適切な発言・行動に対する批判が依然として多く全体の47.3%を占めました。その他で目立ったのは、横浜市のマンション傾斜問題で、本件だけではなく、本件とは全く関連性はないが同業という点で注目された同業他社が、過去の投稿やコメント、仕事内容から火種を見つけられ炎上するという「飛び火」のケースも起きています。
TOPIC物騒な発言で炎上した洋菓子店店主、著作権に違法した販売をしているとして再炎上
発端は洋菓子店店主がFacebookのコメント欄に本名で暴言を書き込んだとして炎上したことです。後にアカウント乗っ取り被害に遭ったと弁明していますが、店主の過去の投稿や妻のブログから漫画やアニメのキャラクターを描いたケーキの画像を大量に掲載していたことが発覚し、これが著作権法違反ではないかと再炎上したケースです。
<解説>
この炎上には2つのポイントがあります。
二次炎上
一度炎上した場合、拡散・長期化するだけでなく、過去の全く関係のないものが引っ張り出されて炎上する「二次炎上」発生の可能性があります。上の洋菓子店のケースの場合も、初めはFacebook上の暴言に対する炎上でしたが、著作権法違反疑惑という暴言とは全く関係のない事実が過去の投稿や家族のブログから発見されて再炎上しています。特に不適切な発言・行為から炎上した際は本人特定とともに、「責め立てる材料」として過去のコメントや投稿に落ち度を探すネットユーザーもいるため、被害はさらに大きくなります。
炎上直後の対応
この炎上の場合、問題となった暴言が続いた数時間後に店主の男性が、一連の暴言はアカウントを乗っ取られており、自身に責任はないと弁明しています。確かに今、そうしたアカウントの乗っ取りが横行しており、思わぬ被害を受ける方も多く存在します。ただ、この店主の男性の場合、アカウント乗っ取り被害を訴えた際に「私みたいなお店持ってる人が、あんなことしますか?ちょっと考えてくださいね。勝手にコメントしないで頂けますか?」などとネットユーザーを責めるかのようなコメントをしています。炎上直後はアカウントの乗っ取りに関係なく、冷静に真摯な対応をすることが肝心です。この場合は、乗っ取り被害について事実だけを述べ、騒ぎとなったことへのお詫びと今後の対策について記述していれば再炎上まで至らなかった可能性もあります。
監修清澤 秀彰(ソーシャルリスクアナリスト)
東京大学法学部卒業後、株式会社エルテスに入社。予防ソリューショングループで数多くの案件のリスク分析を行う。特に炎上案件の分析を得意とする。
炎上月次速報レポートについて
炎上月次速報レポートは、リスクに特化したビッグデータ分析を得意とする当社が、前月のネット炎上件数を独自に算出し発表するマンスリーレポートです。本レポートを毎月公開していく事で、企業や社会が抱えるデジタルリスクへの意識喚起を行ってまいります。
- ネット炎上
- ツイッターで50回以上のリツイートがされ、特定のまとめサイトにまとめられたものから、当社が“炎上”としたもの