概況炎上126件、約57%増(前年同月比)
12月のネット炎上件数は前年同月比57%増の126件となりました。昨年同月件数(80件)を上回ると同時に今年最多となりました。炎上原因は他月よりさらに多岐にわたっていますが、特に多かったのは「失言」による炎上でした。その中で最も多く炎上原因となったのは政治家のTwitter上の発言で38%、次いで芸能人(19%)、企業のSNS公式アカウント(12%)となりました。近年、宣伝目的でSNS運用を始める企業が増えていますが、その反動で失言や誤操作などによる炎上が増加傾向にあります。
TOPIC美濃加茂市がポスターに起用したキャラクターが「セクハラだ」「人権侵害だ」などと批判殺到
岐阜県美濃加茂市が、同市を舞台とするライトノベルのキャラクターを観光ポスターに起用したところ、キャラクターの風貌が淫らであるとして、Twitter等で大きく批判されました。
<解説>
この炎上には2つの側面があります。
認識の個人差
企業や団体の宣伝に使われる画像や動画(ネットCM動画など)が炎上するケースが増加していますが、ほとんどの場合において発信者に悪意はなく、ただその表現方法が「不快」「差別的」であると捉えた個人の投稿が拡散して、炎上しています。これは認識の個人差によるため、「不快と感じない」と擁護に回る人も多いですが、ネガティブな話題がネット上で盛り上がるため、結局発信した企業や団体に悪影響を及ぼしてしまいます。
拡散力
当ケースのように「画像」や「動画」自体が炎上したものは拡散力が高い傾向にあります。視覚に訴えるため印象が強く、文章を細かく読まなくても炎上の概要が分かるため拡散のスピードが速くなるためです。また、日本語の分からない外国人でも理解できてしまうため、企業・団体の宣伝用の画像や動画などが炎上したケースでは世界的に批判され、大炎上へと繋がります。
監修清澤 秀彰(ソーシャルリスクアナリスト)
東京大学法学部卒業後、株式会社エルテスに入社。予防ソリューショングループで数多くの案件のリスク分析を行う。特に炎上案件の分析を得意とする。
炎上月次速報レポートについて
炎上月次速報レポートは、リスクに特化したビッグデータ分析を得意とする当社が、前月のネット炎上件数を独自に算出し発表するマンスリーレポートです。本レポートを毎月公開していく事で、企業や社会が抱えるデジタルリスクへの意識喚起を行ってまいります。
- ネット炎上
- ツイッターで50回以上のリツイートがされ、特定のまとめサイトにまとめられたものから、当社が“炎上”としたもの