「ソリューション+人材」でより幅広い課題に立ち向かう ——GloLingとともに描く、エルテスグループの未来像とは?

官民をあげてDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが進む現在、デジタルリスクへの対策は、それぞれの社会的責任や企業価値を維持・向上させるための重要な要素となっている。その一方で、2030年にはIT 人材が45万人不足する(※1)と予想されており、セキュリティ人材を含むデジタル人材の育成・確保が社会的な課題とされている。エルテスでは、そうした状況下で高まる「ソリューションと人材の両面からの支援」を求める声に応えるため、2022年3月に企業のシステム開発支援を行うGloLingを完全子会社化し、新たなリスクの解決に乗り出した。今回は、GloLingの代表取締役を務める園田千春と近藤浩行に、合流の狙いや今後の展望などを聞いた。

真のセキュリティ・ソリューション・パートナーを目指して

――はじめに、園田さんからGloLingについて簡単にご紹介ください。

園田 社名である「GloLing」は、Global(世界)とLink(つながり)、Living(共存)という3つの単語を掛け合わせた造語です。日本の技術や文化と世界をつなぐ架け橋となる会社を目指して、2015年に創業しました。現在は、お客様のシステム開発などのプロジェクトを支援するエンジニア派遣事業を柱に、WebサイトやWebアプリなどの受託開発も行なっています。1年ほど前からは、技術者不足が叫ばれるIBMのメインフレーム(※2)に特化して、システムの保守・運用から人材育成までを行うメインフレーム事業もスタートさせました。

社員の9割以上がエンジニアとして在籍しており、ほとんどがIT業界で5年〜30年という豊富な経験を積んでいるのもGloLingの大きな特徴です。

 

――ありがとうございました。今回のM&Aの背景として、エルテスグループにはどのような課題感や目的があったのでしょうか?

近藤 創業以来、エルテスはデジタルリスクやセキュリティの領域で画期的なサービスをお客様に提供し、2016年には上場も果たすなど大きく成長してきました。エルテスのソリューションの一つである「Internal Risk Intelligence(内部脅威検知サービス)(※3)」も、今や多くの大企業で導入していただいており、そうした点は非常に素晴らしい成果だと自負しています。

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しかし、エルテスのビジネスを俯瞰してみると、どうしても「お客様が困ったときにだけ、個別対応するようなビジネスモデル」になりがちです。そして、そうした状況から脱却し、もう1段階成長するには、お客様にとっての真のセキュリティ・ソリューション・パートナーになる必要があると感じていました。

――真のセキュリティ・ソリューション・パートナーとは、具体的にどういったイメージでしょう。

近藤 ソリューションだけでなく、知識やスキルのある人材をセットでお客様に提供し、「デジタルリスクやセキュリティに関するあらゆる相談に応えられる存在になる」というイメージですね。事実、既存のお客様からも、ソリューションと人材の両面から支援を求める声は多く寄せられていますし、そうしたニーズに応えることは大きなビジネスチャンスにもなると思っています。

また、グループ会社であるJAPANDXとともに取り組んでいる自治体DX推進事業(※4)においても、自治体のDX化を支援するための人材が必要になります。しかし現状では、どちらのケースでもデジタル人材の確保というところがボトルネックになってしまう。そうした課題をスピーディに解決するには、優秀なシステムエンジニアを抱えている企業と合流するのがベストだと考えて、GloLingとのM&Aに至りました。

事業の進化と拡大を目指し、足りないパーツを埋めるパートナーシップ

――エルテスの既存事業とエンジニア派遣事業を組み合わせることで、より深く顧客企業と関わっていくというわけですね。エンジニアを抱える企業は数多くありますが、GloLingのどのようなところに魅力を感じたのでしょうか?

近藤 経験豊富なエンジニアを数多く抱えているという点はもちろんですが、やみくもに人を増やすのではなく、丁寧に人材を育成してきたからこその精度や信頼感に大きな魅力を感じました。今回のM&Aでは多くの候補がありましたが、GloLingは事業内容的にも規模的にも、私たちが希望していた通りの企業です。だからこそ、M&Aが実現したことをとても嬉しく思っています。

――一方でGloLingが抱えていた課題について教えてください。また、合流先を探すにあたって、特にどのような点を重視していましたか?

園田 システム開発の現場では、エンドユーザーであるお客様から発注を受けたベンダー企業の下流に、いくつものSE会社やエンジニア派遣事業者が入る形になります。GloLingは7期目を迎え、現場でのポジションも着実に上がってはいますが、二次請け、三次請けといった立場で派遣される場合、エンジニアは現場で社名を名乗ることすらできません。とはいえ、会社の規模的に元請けのポジションで仕事をいただくことは難しく、「現場での認知度や立ち位置をここからどう上げていくか」という点が課題になっていました。

またGloLingでは、ほとんどの社員が顧客企業に常駐する形でプロジェクトに参画しており、社内で行う受託開発などは限られたものになっています。しかし、社員の中にはできるだけ社内で働きたいというエンジニアもおり、「スタッフが継続的に関われるような自社プロダクトがあればいいな」「自社プロダクトやサービスがあれば、他の事業にもいい影響が出そうだな」という思いは常に抱いていました。

そうした課題感から、「独自のプロダクトやサービスを持っていること」と「社内にエンジニア派遣部隊を持っていないこと」という二つの条件でM&A先を探していたところ、エルテスからオファーをいただいたのです。

――エルテスのオファーに応えて、エルテスグループに加わることを決断した決め手を教えてください。

園田 決め手は二つあります。一つは、名だたる企業をはじめ、多くのお客様と良い関係を構築されている点。もう一つは、独自のソリューションやサービスの提供、自治体DX支援など、エンジニアから見てとても魅力的な事業をお持ちだったことです。加えて、対応の丁寧さと意思決定の速さにも好印象を持ちました。ほかにもたくさんのオファーをいただいたのですが、一度目の面談から資料を準備してくださったのはエルテスだけ。その後、決断するまで何度も面談させていただきましたが、GloLingがエルテスグループに加わることで期待できるシナジーやメリットなどが都度明確になり、最終的には迷うことなくM&Aに合意できました。

ソリューションと人材の両面で、日本のDX やデジタルリスク対策に貢献する

――エルテスとGloLingの双方で、すでに感じておられる合流後の変化やシナジーの部分での手応えなどがあれば、お聞かせください。

園田 近藤さんがIBM出身であることもあり、メインフレーム事業においては、すでに多くのお客様をご紹介いただき、新たなビジネスにもつながっています。エンジニア派遣事業でも、エルテスの営業力や信用力を武器に、これまで以上に大きなプロジェクトへの参画が決まるなど、エルテスグループとしてのシナジー効果を感じています。

近藤 メインフレーム事業については、GloLingが力を入れていたことと、私の前職での経験がうまくマッチしました。園田さんが言うように、売上の面だけを見ると早くもM&Aの効果は出ていますが、今回のM&Aの大きな目標は、エルテスのさらなる進化に向けて「人材の厚み」を出すこと。GloLingには優秀なエンジニアがたくさんいますが、デジタルリスクや自治体DXといった領域は未経験なので、まずは専門的な知識・スキルを身に付けてもらう必要があります。そこで現在は、GloLingからエルテスに数名のエンジニアを送り込んでもらい、デジタルリスクの領域で、コンサルタント的にお客様を支援するための教育をはじめています。

――GloLingがエルテスグループに合流してまだ数ヵ月ですが、すでにさまざまな効果や変化が生まれているのですね。

園田 今回のM&Aで、GloLingが課題としてきた「エンジニアがよりやりがいを感じて働ける環境作り」を実現できたのは、とても大きなことだと思っています。デジタルリスクやセキュリティ、自治体DXといった先端分野の取り組みを行うエルテスグループに入ったことで、採用が難しかったプロジェクトマネージャークラスの人材に興味を持ってもらえるようになったのも、大きな変化ですね。

――今回のM&Aでは「人材」の確保が1つのキーワードになっています。それを考えれば、採用の面で良い影響が出ているのは喜ばしいことではないでしょうか。

園田 おっしゃる通りです。また、IT業界では現場での引き抜きなどもよくありますが、エルテスの存在がエンジニアをつなぎ止める材料にもなっており、M&Aによる事業の広がりがさまざまな好循環を生んでいると感じます。

――最後に、お互いに対する要望や、グループとしての今後の目標などについてお聞かせください。

近藤 GloLingにもっとも期待したいのは、やはりエンジニアの採用や教育といった人材確保の部分です。受注の拡大や直請け案件の増加といった点では、すでにシナジーが出ていますので、今後はエルテスが持つソリューションに関わる領域で、よりGloLingのエンジニアに活躍してもらいたいですね。そのためにも、いま以上に両社の連携を強化していきたいと考えています。

園田 近藤さんがおっしゃるように、人材面での貢献が私たちに求められるところだと思いますので、エルテスのソリューションを支えるエンジニアの育成や教育については、さらに力を入れていきたいですね。同時に、GloLingとしてもしっかりと売上を伸ばして、子会社としてエルテスグループを支えられる存在でありたいと考えています。

エルテスグループのGloLingとして、今後はソリューション開発やサービス開発に関与していく機会も増え、GloLingのエンジニアが活躍する場はより広がっていくはずです。やりがいを求める若い人や、人を育てたいという思いを持つ経験豊富なエンジニアの方にも、ぜひ私たちの仲間に加わってほしいですね。

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※1 経済産業省情報技術利用促進課「IT人材需給に関する調査(概要)」より引用

※2 企業や官公庁などの基幹情報システムなどに用いられる大型のコンピュータのこと。Webシステムとの比較で「レガシーシステム」と呼ばれることもあるが、世界のメインフレーム市場は現在も成長を続けている。

※3 ファイルサーバーなどのログデータを横断的に分析し、人の振る舞いを炙り出し、リスク予兆を検知することが出来るサービス。営業秘密の持ち出しなどの情報セキュリティリスク、隠れ残業などの労務リスクの検知が可能です。すでに200件以上の提供実績を持ち、5件の営業秘密持ち出しの検知実績も有している(2022年12月現在)。テレワークの導入を追い風に、大手製造業、金融機関での導入が進んでいる。

※4 先進的なデジタル技術の活用によって、地方公共団体社会課題を解決する取り組み。エルテスでは、デジタル化による住民サービスの向上を目的に、スーパーアプリの導入やその活用支援など行っている。

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プロフィール

園田 千春(CHIHARU SONODA)

園田 千春(CHIHARU SONODA)

株式会社GloLing 代表取締役社長 美容業界の講師、エンジニア派遣の営業を経たのち、2015年10月に株式会社GloLingを設立。日本の技術で発展途上国の雇用を生み出し、国境を超えた社会貢献を目指している。2022年3月、エルテスグループに参画。

近藤 浩行(HIROYUKI KONDO)

近藤 浩行(HIROYUKI KONDO)

株式会社エルテス 営業本部 DXソリューションセールス・パートナーマネジメント部 DXソリューションセールス・パートナーマネジメントグループ マネジャー 株式会社JAPANDX 取締役 株式会社GloLing 代表取締役 中央大卒、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。大手企業、政府のITコンサルセールスを経験後、金融担当として『みずほ銀行統合プロジェクト』のセールスマネジメント統括。エルテスでは既存顧客向けのデジタルリスクの統括やクラウド・セキュリティ診断を含む脆弱性診断サービスの推進などを担い、2020年12月に設立された株式会社JAPANDXの取締役に就任。2022年3月 には、エルテスのグループ会社である株式会社GloLingの代表取締役に就任し、PMIに取り組んでいる。