リモート化や地方における高度人材の参画を実現。多様な働き方のもと、新たな仲間とともに歩む2022年

新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化する現在、国内の多くの企業がリモートワークへの移行に苦労している状況が浮き彫りになっている。そうした中、エルテスではいち早く業務をリモート化し、多様な働き方を実現。加えて、IT・デジタル人材不足という日本社会の課題に対しても、「地方における高度人材の確保」というチャレンジを行うことで対応している。今回は、そうした新しい働き方や新しい人材採用について、コーポレートデザイン部人事グループの小室遥、昨年エルテスに入社した岩手県紫波町出身のエンジニア・山田一忠、そして山田の上司にあたるリスクインテリジェンス部長の川下巧に話を聞いた。

リモートワークへの対応に加え、採用活動のフルリモート化も実現

――コロナ禍のなか、2021年2月1日にオフィスを従来の半分程度にまで縮小するなど、いち早くリモートワークに対応してきました。新しい働き方をスピーディに導入できた背景はなんだったのでしょう。

小室 エルテスでは、第1回目の緊急事態宣言が出た2020年の4月ごろから、リモートワークの本格導入をスタートさせています。その目的はもちろん感染対策ですが、実はもうひとつ別の狙いもありました。それは、当社が多様な働き方を実現することで、お客様が抱えるリスクをより深く理解し、より高い精度で対応していくこと。デジタル化によって働き方が多様化し、業務上のリスクもどんどん複雑化していますが、それに対応するためには自分たちが多様な働き方を実践し、それぞれのメリットやデメリットを把握しておく必要があると考えたのです。

多くの企業がフルリモートに移行できない理由としては、旧態依然とした紙ベースの作業が多かったり、従業員の働き方が可視化されないことでマネジメント側が不安を抱いたりという、物理的・心理的なハードルがあげられると思います。その点、エルテスでは従来から紙にとらわれない業務設計を行っており、社長をはじめとする経営層も非常に柔軟な思考を持っています。

現在は、業務的に出社が必須となる社員以外は、ほぼフルリモートという形になっていますが、そうした体制にスピーディに移行できた背景には、「もともと企業として多様な働き方に対する理解があったこと」が大きいかもしれません。また、当社ではコロナ以前からシステムのクラウド化を進めるなど、環境面の整備にも取り組んでおり、そうした点も大きな後押しになったと感じています。

――コロナ禍では、多くの企業が採用活動にも苦慮しています。人事グループとして行っている新しい取り組みはありますか?

小室 昨年度からは新卒採用も中途採用も、募集から採用まですべてリモートで行うようになりました。面接はもちろん、入社手続きもリモートで対応しているので、まだリアルではお会いしていない社員の方もたくさんいらっしゃいます。

この取り組みを通じて強く感じるのは、地方在住者の採用という点で、人材採用の可能性が大きく広がったということ。昨年の4月に新卒で入社した11名の社員のうち、約半数は地方出身者で、みなさん勤務地こそ東京ですが、採用試験や面接などはすべて地元にいながら受けていただいています。このように採用活動をすべてリモート化した結果、全国から多くの方に応募をいただき、その中から優秀な方に参画頂くことができた。これは、エルテスとしてとても大きなメリットだと思います。

――経済産業省が、2030年にはIT人材が最大で79万人不足すると発表していますが、そうした課題への対応策にもなりそうです。

小室 IT人材の問題については、数の問題だけでなく中央にのみ人材が集中するなど、IT人材が活躍できる場の不均衡という問題もあります。そして、それが原因となって地方におけるIT人材が不足し、地方のDX化の遅れにもつながっているのです。

▶地方のDX推進を行う子会社JAPANDXの取り組みはこちら

そこで当社では2021年に岩手県紫波町に本店を移転(※1)するとともに、紫波町と包括連携協定を結び、町のDX化推進や地方におけるデジタル人材の育成をスタートさせました。また今後は、ITのスキルを持っているのに、それを生かす場がない地方在住者の採用も、積極的に行っていこうと考えています。

実は、この座談会に参加している山田さんも、そうした流れから当社に入社されることになった一人なんですよ。

「築いてきたキャリアを生かしながら、地方で働く」ということの難しさ

 ――山田さんは中途採用で昨年12月にエルテスに入社されました。これまでのご経歴などを簡単にお聞かせいただけますか。

山田 岩手県紫波町の出身で、高校卒業後は東京に出てエンジニアをはじめとするさまざまな仕事に従事。直近の約10年間はIT関連企業に勤務し、顧客に向けた仮想インフラの保守、サービス運用や障害対応、さらには社内リスクなどを改善するための提案や、工数削減のための業務フローの見直しなどの経験を積んできました。

一方で、紫波町に親を一人で残していたこともあり、「いずれは地元に戻りたい」という思いも抱えていました。また、上京した当時から「地元に貢献したい」という思いを強く持っていたため、年齢やキャリアなどを考慮したうえで、約3年前に紫波町に戻ったのです。

――東京から紫波町に戻って、どのようなキャリアプランを描いておられたのですか?

山田 東京でお付き合いのあった企業様の案件を受注するなど、フリーランスのエンジニアとして仕事をしながら、キャリアを生かせる職場を探そうと考えていました。とはいえ、岩手県では自分のキャリアが生かせる企業がほとんどないのが実情。これは私に限ったことではなく、たとえばすごく高度なITのスキルを持っている方がいたとしても、地方で働くことを優先すればそれを生かす道がないのです。

――選択肢のなさを痛感しているなかで、エルテスに出会ったと伺っています。最初はどんな印象を持ちましたか?

山田 紫波町での取り組みや事業内容を知って、とても興味を持ちました。また、先ほどお話があったとおり、面接などをすべて岩手にいながらにして受けることができたことも、入社への後押しになったと感じています。

面接では社長とお話をする機会もあり、詳細な事業内容はもちろん「地方から日本を変えたい」という思いを語っていただいたことが印象に残っていますね。自らのキャリアを生かして働けるのはもちろん、地方への思いや取り組みに共感できる部分も多く、「ぜひエルテスで働きたい」という気持ちが膨らんでいきました。

――入社されてまだ約1ヵ月ですが、現在はどのような活動を行っていますか?

山田 IRI(Internal Risk Intelligence ※2)のチームに配属されましたが、まだ入社して間もないこともあり、現在は紫波町の本店に出社して主に研修を受けています。本店にはIRIのメンバーが私以外におらず、当初は心細さや不安な部分も少なからずありました。しかし、研修資料やクラウド型のラーニングシステムが充実しているうえ、疑問点や確認が必要な際にはZoomやSlackを使ってすぐに連携が取れるなど、細かなサポートのおかげでとても安心して働くことができています。

――エルテスで働いてみた感想やご自身の目標なども教えてください。

山田 紫波町民である私から見ても、地元のデジタル化を推進してくれるエルテスはとてもありがたい存在であり、オガールプロジェクト(※3)に関わる人や企業、ITに関心を持つ多くの人からも同様の声を聞いています。だからこそ、IRIのチームで役割を果たすことはもちろん、エルテスが地方においても常に「攻める姿勢」を持ち続けられるように、また社員のみなさんが戦うための環境を整備していけるように、尽力していきたいと思っています。

中央でも地方でも、企業としての可能性を広げる人材採用を目指す

――IRIチームを率いる川下さんから、チームの活動内容や今後の展望をお聞かせください。

川下 まずは、IRIについて簡単に説明させてください。IRIというのは、従業員の振る舞いをから情報持ち出しや内部不正等のリスク予兆を可視化し、リスクを未然防止する「内部リスク対策サービス」のこと。一般的なエンドポイントセキュリティは、端末やネットワークを監視したうえで異常事態を検知するため、「結果的に起こったこと」に対する事後の対応しかできませんが、IRIはWebの閲覧履歴、プリントアウト、入退出記録、メールなどの「人のふるまい」にフォーカスしてログの収集・分析を行うため、事前にさまざまなリスクを予測することができます。

2016年のサービス開始から延べ19万ユーザー、160億件以上のログ分析を行っており、リモートワークなどの新しい働き方によって個人の働き方が把握しにくくなった現在、IRIの存在感は、ますます高まるのではないでしょうか。

現在の日本では「セキュリティ原理主義的」な守りのセキュリティが浸透していますが、企業が競争力や生産性を上げていくためには、有用な情報が然るべきタイミングで然るべき対象に共有されるべきだと考えます。IRIを普及させることで、お客様がデジタルの恩恵を安全かつ正しく享受できるような未来をつくれたらいいですね。

▶IRI(Internal Risk Intelligence)の詳細記事はこちら

――「人のふるまい」を上手に活用すれば、セキュリティの確保だけでなく、従業員のパフォーマンス向上にもつなげられるかもしれません。

川下 そのとおりです。高いパフォーマンスを出す社員のふるまいを分析して、その知見データを共有する。あるいは、パフォーマンスが発揮できていない人のふるまいを分析して、改善点などを導き出す。そうした使い方ができるのもIRIの強みだと思います。

また、今後の展望ということでいえば、もうひとつ見据えていることがあります。近年の国際社会では、各国が軍事・経済などでの優位性を確保しようと、先端技術やデータの確保に躍起になっている状況です。そして、企業や研究期間が取り扱う先端技術の流出などに対する懸念もこれまで以上に高まっています。そのため当社では、IRIを顧客企業の利益や国益を守る「経済安全保障」の一施策であると位置づけ、その役割を担っていきたいと考えているんです。

▶経済安全保障戦略を踏まえたIRIサービス提供に関するプレスリリースはこちら

――話を伺っていると、このサービスにはさまざまな可能性が広がっていると感じます。そんなIRIを手がけるチームとして、山田さんにどのような期待されているのかについてもお聞かせください。

川下 今回、私たちのチームに山田さんを迎え入れることができたのは、とてもラッキーなことでした。山田さんはエンジニアとしての豊かな経験と確かなスキルを持つうえに、顧客のビジネス面を踏まえた物の見方ができる高度なIT人材。まさに、チームが求めていた人物です。トレーニングの後にはセキュリティエンジニアとしてサービスオペレーションを担っていただき、さらに1年後には幅広い領域でお客様の課題解決をサポートするリスクコンサルタントして、IRIチームの主力を担っていただけるのではないかと期待しています。

――人材育成のスピード感も、柔軟な思考を持つエルテスならではですね。では最後に、今後の人材採用について、小室さんからメッセージをいただけますでしょうか。

小室 地方での採用という点でいうと、山田さんのように事情があって地元に戻る方もいれば、東京に疲れて自然の多い地方で働きたいという方もいらっしゃると思います。「分散型社会」を目指すエルテスとしては、そうした人たちがキャリアを犠牲にすることなく働けるように、地方の方にもエルテスを選んでいただけるような体制づくりをより充実させていきたいですね。

また、現在岩手では、エンジニアはもちろん警備事業を担うグループ子会社(※4)ではセキュリティオフィサー(警備業務)なども募集しています。地方でも中央でも素晴らしい人材に出会うべく職種、ポジションを限定しないオープンポジションでの採用活動も行っていく予定なので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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※1 本店の移転は2021年6月15日、DXを通じた地方創生事業を展開する起点として、JR紫波中央駅前のオガール施設内にあるシェアオフィスの一角に創設(東京の事業活動拠点は引き続き東京本社)。

※2 さまざまなログデータから「ヒト」の行動を解析し、企業内部での「異常行動」や、 その「動機」「可能性」「兆候」を持つ人物を検知・可視化し、重大なインシデントの発生を未然に防ぐことのできるサービス。

※3 オガールとは、紫波の方言で「成長する」を意味する「おがる」と、フランス語で「駅」を意味するGareを掛け合わせた造語。公民連携の駅前開発プロジェクトとして平成21年にスタートした。

※4 「AI×セキュリティ」を掲げて警備業界に参入したエルテスの完全子会社。伝統的な警備業とデジタルテクノロジーを融合させ、デジタル新時代の新たな警備業を創出する。

プロフィール

小室 遥(HARUKA KOMURO)

小室 遥(HARUKA KOMURO)

コーポレート本部 コーポレートデザイン部人事グループ 採用担当 大学卒業後、EC系ベンチャー企業にて企画営業を経験し、医療介護領域のメガベンチャー企業にて、医療従事者のキャリアアドバイザーとして従事。2018年にエルテスに入社し、新卒、中途、グループ会社各社の採用企画~面接等の採用業務全般を担当。

山田 一忠(KATSUTADA YAMADA)

山田 一忠(KATSUTADA YAMADA)

データインテリジェンス本部 リスクインテリジェンス部 分析グループ IT企業にて仮想インフラ(VMware)の保守、サービス運用、遠隔サポート、障害、クレーム対応などに従事。社内リスクの観点から環境改善の提案→改善までを提供。業務環境の改善、教育体制の見直し、ツールの作成による工数やヒューマンエラー削減などの経験を積む。地域のデジタル化推進に魅力を感じ、エルテスの門を叩く。2021年12月 株式会社エルテスに入社。

川下 巧(TAKUMI KAWASHITA)

川下 巧(TAKUMI KAWASHITA)

データインテリジェンス本部 リスクインテリジェンス部長 経済産業省認定資格 情報セキュリティスペシャリスト保有(現情報処理安全確保支援士)。新卒にてエルテスに入社し、Internal Risk Intelligenceサービスの立ち上げメンバーに選抜。内部不正のリスクマネジメント支援を多数の企業に対して行う。