catch-img

安全なデジタル社会の実現へ――。 日本のリスクマネジメントを担う、日本大学寄付講座「危機管理特殊講義2(デジタルリスク)」の現場から


エルテスは2020年度より日本大学危機管理学部における寄付講座「危機管理特殊講義2(デジタルリスク)」(以下、「本講座」)を6年連続で開講。これからのデジタル化社会を担う人材の育成に取り組んでいます。
今回は、講座の内容を紹介しつつ、受講した学生からのアンケートを通して、本講座の魅力や、デジタル社会における危機管理の重要性に迫ります。
また、過去に日本大学危機管理学部の学生として本講座を受講し、その後2024年4月に新卒でエルテスに入社したSR事業本部SR CS部の永山さんに、受講当時の考えや、立場を替え講師として本講座に携わる想いを伺いました。

日本大学寄付講座「危機管理特殊講義2(デジタルリスク)」について

――講座開設の背景

エルテスでは、企業などを対象にSNS炎上リスクをはじめとするデジタルリスク対策や、内部不正リスクの早期検知サービスを提供しています。こうした事業を通じて、日々増大するデジタルリスクの脅威を感じているからこそ、デジタルリスクに対応できる、知見を持った若い人材を育成していくことが重要だと考えています。危機管理学部を持つ日本大学様がこの考えに共感いただいたことから、2020年度より寄付講座開講が実現いたしました。この取り組みは、エルテスがミッションとして掲げる「安全なデジタル社会をつくり、日本を前進させ続ける。」にも繋がると考えています。

なお、2023年6月に公開した「エルテスの道:日本大学とともに、デジタル化社会で活躍する 『危機管理パーソン』の育成に取り組む」(※1)では、講座開設の背景などをより詳細に紹介しています。

――講座概要

本講座は全15回で構成されており、各回のテーマ(以下参照)に沿って、講義形式で授業を行います。第2回以降では、リアクションペーパーを通して寄せられた学生からの意見や質問に講師が回答したり、実際にスマートフォンやタブレットを利用して事例を調べるワークを実施したりと、実践的な学びを促進する講座となっています。

<講座で実際に投影する資料より一部抜粋>

<各回の授業テーマ>

――講座の狙い、目的

本講座は、社会的基盤として定着したソーシャルメディアと、そのリスク対策について、企業経営上の危機管理の観点から理解するための基本的な知識の習得を目的としています。学生は、⽇常的に利⽤するソーシャルメディアについて理解を深め、企業の⽴場から考察することで、デジタル社会における危機管理について学んでいきます。実務経験のあるエルテスの社員が講師を務め、学生にも理解し易い内容となるよう、具体的な事例を取り⼊れつつ解説を⾏います。

――受講学生の声

過去に60名以上が受講していた年度もあり、累計受講者数は今年度で200名を超えました。ここでは、各回の講座後に学生に回答いただいているアンケートを抜粋し、受講した学生のリアルな声をご紹介いたします。

ソーシャルメディアとデジタルリスクについての学びの感想だけではなく、将来に役立つ知識として、多くの学生から講座に関する好評の声が寄せられています。

受講生と講師、両者から見たデジタルリスク講座

ここからは、学生時代に本講座を受講し、現在はエルテスでCS(カスタマーサクセス)として活躍する永山さんに話を伺います。

――在学中に、本講座を受講しようと決めた理由をお聞かせください。

永山 シラバスを見た時に純粋に面白そうだと思い、興味を持ちました。実務経験のある方が講師を務める講座という形式が珍しかったことはもちろんですが、危機管理の専門家として働くうえで必要な実践的な知識を学べることが魅力的でした。

当時3年生で、就職活動も含め将来のことを考え始めた時期だったこともあり、社会人の方々のお話は非常に参考になりました。そもそも、受講するまでエルテスという企業や、炎上対策コンサルティングという仕事の存在を知らなかったので、何よりも「こんな仕事があるのか」という驚きが一番印象的でした。

――実際に講座を受講してみて、SNSの使い方や意識に変化はありましたか?

永山 普段から情報収集を中心に使用していて、あまり投稿はしていなかったので使い方として大きな変化はありませんでした。ただ、講座を通して「気軽な投稿によって一般人でも炎上してしまう可能性があること」、「就職後にもし炎上してしまったら、所属する企業にも甚大な迷惑がかかるため、社会人としての責任感を持つことが重要」という学びがあり、改めて気を引き締めて利用しようという意識の変化がありました。後者の気付きについては、社会人の方が講師だったからこそ、より強く感じたのだと思います。

――本講座を通して様々な学びを得られたとのことですが、その後エルテスの選考に進み、入社を決めた理由はなんだったのでしょうか?

永山 危機管理学部という珍しい学部にいたので、学びを活かした職に就きたいと考えていました。そもそも危機管理学部を志望した理由も、「何事においてもリスクがゼロになることはない」という観点から、危機管理の需要が今後増加するだろうと考えてのことでした。

一般的に、新卒採用ではリスクマネジメントに関する部署への配属は稀有なものだと思います。そのようななかエルテスでは、入社時からCSの部署に配属され、リスクマネジメントの最前線に身を置くことができました。日々の業務では、お客様とのやり取りでセキュリティや炎上対策に関する困りごとを相談していただけており、学生時代に描いていた通り、専門性を活かして働けていると感じています。

――危機管理の学びを活かしたいという想いが、エルテス入社に繋がったのですね。今回、受講生から講師へと立場を変えて本講座に携わっていますが、講師に立候補した背景にはどういった想いがあったのでしょうか?

永山 卒業した学部ですし、エルテスを知るきっかけにもなった講座なので縁があると思い、立候補しました。他に寄付講座をやられている企業もありますが、大学の教壇に立てるという貴重な機会を任せていただけて良い経験になりました。

――まさに、なるべくして講師になったという感じですね。講師を務める今、学生とのコミュニケーションを通してサービスや日々の業務に活かせる学びや気付きはありましたか?

永山 学生、ひいては、世間一般との感覚のズレを改めて認識しました。私を含めエルテスで働く同期・同僚は、CSとして働いてきた経験を基に、「企業にとってのリスクとはなにか」という問いにも、意見を持てるようになってきています。しかし、学生ではなかなか想像がつきにくい部分だと思います。というのも、デジタルネイティブでSNSにも慣れている学生から見ると、「企業は自社内できちんとSNS対策ができている、できていて当然」と思っていたりします。しかし、実態はSNSに関するリスクは多岐にわたり、企業も対応しきれない部分があるという事実に、私自身も入社して大きなギャップを感じています。

専門家として、幅広い分野の企業の方々と、リスクに対する認識にいて定期的に話ができている事自体がなかなか無いことですし、貴重な仕事だと思います。その分求められる対応も多様にはなりますが、そこに面白さを感じる、危機管理学部の学生は多いのではないでしょうか。

――最後に、本講座を通して学生に伝えたい事があれば教えてください。

永山 例え大きな企業でも、「内定式の画像を載せてしまう」といった学生が起因となる事案が毎年のように起きています。近年では、多くの企業でSNSセキュリティポリシー研修などを実施していますが、内定式の段階ではまだ研修も実施されていないので、学生気分の内定者も多いかと思います。そういった意味でも、本講座は、炎上対策専門で活躍されている方からお話を聞くことができるため、どこの企業で働くにしても社会人として必要な知識を学ぶことができ、いつか役に立つと思います。どの学生にとっても受講を薦められる内容です。

= = =

※1 2023年6月2日公開エルテスの道「日本大学とともに、デジタル化社会で活躍する 『危機管理パーソン』の育成に取り組む」はこちら

プロフィール

永山 歩武Ayumu Nagayama
株式会社エルテス
SR事業本部 SR CS部 第1CSグループ

2024年、日本大学危機管理学部を卒業し、同年新卒入社。 現在はコンサルタントとして、幅広い業界の企業に対しリスク対策支援に従事。デジタルリスクの低減や体制構築に向けたサポートを行っている

関連記事


エルテスでは、2020年度より日本大学危機管理学部における寄付講座「危機管理特殊講義2(デジタルリスク)」を開講。これからのデジタル化社会を担う人材の育成に取り組んでいる。今回は、日本大学危機管理学部の福田充学部長と、情報セキュリティ領域を専門とする美濃輪正行教授、エルテスのソリューション本部副本部長の猪股裕貴に、講座開設の思いや現在までの成果などを聞いた。


iU情報経営イノベーション専門大学とのコラボレーションを実施。2021年8月27日と9月1日の2日間に渡って、ビジネスの現場における有益なデジタルリスクやデジタルインテリジェンスに関する特別講義を行った。今回は、その模様をリポートする。

株式会社エルテス
ページトップへ戻る