
パートナーシップで築くIRIの未来──エルテス×CTCSの挑戦
雇用の流動化や働き方の多様化に伴うセキュリティ対策への関心を背景に、Internal Risk Intelligence(内部脅威検知サービス、以下「IRI」)への注目が急速に高まっています。IRIは、従業員の営業秘密・顧客情報の持ち出しや、海外への技術流出といったセキュリティリスクだけではなく、サービス残業や情報の改ざんなどの内部不正の検知にも活用でき、情報セキュリティインシデントの未然防止を支援します。
こうした市場環境の中、IRIをいち早く取り扱い、販売パートナー企業として継続的に価値を届けてくださっているのがCTCシステムマネジメント株式会社(以下「CTCS」)です。
今回は、CTCSで最初にIRIの取り扱いを決断された高波さんと、現在の担当者である谷口さんをお迎えし、エルテスのIRI営業部 パートナーセールスグループの森田さん、太田さんとの対談を通して、IRI取り扱い当初の印象や取り扱い後の手応え、そしてパートナー企業として感じているエルテスの強みについてお話を伺いました。
IRI取り扱いの決め手と、信頼関係が生まれるまで
――まずは、CTCSについて簡単にご紹介ください。
高波 日本有数のSIerである伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下「CTC」)のグループ会社として、CTCが提供する統合ソリューションの運用・保守を担う中核的な役割を果たしています。ITシステム運用を軸に、ソフトウェア開発やクラウド導入、セキュリティ運用など、CTCグループ全体のサービス品質を支える多様な事業を展開しています。
私と谷口が所属するソリューション・開発本部では、お客様とコミュニケーションを密にとれる環境で様々なご要望を伺いながら柔軟に提案を行い、システム稼働から運用・保守までトータルにサポートしています。お客様にとって真に機能的で使いやすいシステムの開発・運用・保守に努めており、「稼働後の維持・保守までサポートする」責任感のある確かなフォロー体制をお客様から評価いただいています。

――エルテスとの関係についても教えていただけますでしょうか?
森田 IRIではパートナーシップ制度を導入(※1)しており、CTCS様は2020年から販売パートナー企業(※2)として共にIRIの事業拡大に向けて活動していただいています。
――IRIに着目されたきっかけを教えてください。
高波 ある企業のIT資産管理ツール提供の主管を担当していた際、お客様から「ログが見づらい」、「見てもよく分からない」という不満が多く寄せられていました。それに加えて、コロナ禍でリモートワークが増加し、「社員の活動状況を把握したい」という需要も高まり、こうした背景から、お客様がより見やすいログ分析ツールを探していたところ、エルテスのIRIに出会いました。
森田 課題感を把握していた高波さんの上司の方が、高波さんにIRIを紹介いただいたことが連携の始まりでした。タイミング良くニーズが合致したことで、連携がスムーズに進みましたね。当時他のソリューションと比較もされたかと思いますが、当社のIRIに決めていただいた理由をお聞きしたいです。
高波 お客様からのそういった要望を受け、私たち自身でログの活用サービスを構築することも検討していましたが、2020年頃からSaaSのニーズが一気に高まり、情報システム部門の社内リソースも限られる中で、パートナー自身が手をかけずとも顧客ニーズを満たせるサービスが求められていました。
また、従来から取り扱っていたIT資産管理ツールだけでは対応しきれない領域にも踏み込みたいという想いもあり、こうしたニーズを全て満たしてくれたのがエルテスのIRIでした。
何より、複数のログを分かりやすく一元管理できる点がIRIの大きな強みです。生データに近い形で分析を出力する統合ログ管理システムなどが多いなかで、エルテスのIRIは、複数のログを関連付けて分かりやすく表示できる点で優れており、お客様にとって非常に見やすいレポートを提供できると評価しました。さらに、ログを収集・可視化するだけではなく、専門のアナリストによる分析と、お客様に寄り添った具体的なサポートまで提供される点は、限られた人員で対応していた当社にとって非常に魅力的でした。

<IRI ポータル画面(イメージ図)>
また、当時流行り始めていたMicrosoft 365 (旧Office 365)のログまで分析が可能な点が非常に珍しく、これも強みの一つでした。製品に対する知見がないとできないことなので、エルテスにしかできないと確信し、良いサービスに出会えたと感じました。
――サービスのクオリティを評価していただいていたのですね。一方で、企業としてエルテスの評価はどうだったのでしょうか
高波 サービスの品質と独自性から「IRIは売れる」という確信を得ていたので、長く続くサービス、企業になるだろうと評価し、信頼できるパートナーだと判断しました。実際に、当時既にWebリスクモニタリングサービスで世間からの需要を満たしていたので、サービスの継続性という点については、十分に信頼に足りました。加えて、上場企業であるということも大きかったです。
また、当時のセールスの方の対応が非常によかったことも印象的でした。お客様のニーズを的確に理解してくれるだけではなく、エンジニアかと間違えるほど、技術的な質問にも迅速かつ的確に答えてくれたため、非常に安心感がありました。私たち自身、「パートナーだからメーカーを頼って当然」という考えはなく、自ら提案や顧客対応を行うことを重視してきました。当時のエルテスとの連携においても、セールスの方からの迅速なサポートがあったことで、私たちが主体的に動ける体制が築けたと思っています。やり取りする方の人間性や、関係性も重要なポイントなので、森田さん、太田さんと非常に良い関係が築けて嬉しく思います。

森田 ありがたいお言葉です。私自身は3年前から、担当者の上司という立場でCTCS様と関わってきました。今期からパートナーセールスグループの責任者という立場になり、改めてCTCS様をはじめとするパートナー企業の皆様と連携を強化していきたいと考えています。
高波 森田さん、ひいてはエルテスと距離が近くなったのは、展示会で共同ブースを構え、CTCSとして立たせていただいたことが大きかったです。私自身、常に現場感覚を持ち、よりお客様のニーズに合致した提案活動を行いたいので、現場の声を直接聞く機会を重視しており、こうした機会は非常にありがたいです。
森田 私たちとしても、IRIの事業を更に拡大していきたいと考えていたタイミングでの展示会でご協力いただき、非常に心強かったです。
「対等なパートナー」だから見える、エルテスの魅力と伸び代
――タイミングにも恵まれ連携がスタートした両社ですが、信頼関係を築くうえで、大切にしていることはありますか?
森田 私は、メーカーとパートナーが良好な関係を維持する上で、対等な立場で意見を言い合えることが重要だと考えています。
高波 私たちもその考えに共感しています。IRIを販売する上でエルテスに様々な要望を出し、それに応えてもらっているため、CTCSとしてもエルテスの期待に応えたいと考えています。
谷口 私たちのこれまでの経験から、お客様の要望に応じて柔軟に変化してきたサービスこそ、継続的に成長していると感じています。以前「IRIのポータル画面が分かりづらい」というお声を受けた際、当時のクラウドサービスの仕様上では変更が難しかったため、エルテスで独自に開発し、見やすく改良してくれたことがありました。こうした要望への対応力の高さが、IRIの顧客満足度に繋がっているのだと思いますし、CTCSとしても信頼感があり、安心してお客様にご提案できます。最近も、ある導入検討中の案件でPoCを進めていた際、太田さんが非常に難しい要望に丁寧に対応してくださいました。
太田 とんでもないです。むしろ、パートナー企業やお客様からのそうした要望は、当社では捉えきれない部分ですし、サービスのブラッシュアップに繋がるので、非常にありがたく受け取っています。
――要望を言い合える信頼関係が良い相乗効果を生み出しているのですね。では、IRIをより多くのお客様に届けるために、CTCSから見て、エルテスに期待していることはありますか?
高波 「内部脅威に関するログ分析といえばIRI」といえるほど、親会社のCTCをはじめとした、世間でのエルテスの企業価値やIRIのブランドイメージを高めていく必要性があると感じています。
森田 認知度の向上については当社も課題として認識しています。炎上対策を支援する企業としては一定認知されていますが、内部不正の対策サービスを提供する企業というイメージはあまり持たれていないのが実情です。そうした背景を踏まえ、前向きな動きとして、セキュリティ業界で著名な経歴を持つ株式会社ラック前代表取締役社長の西本氏を顧問に迎え(※3)、IRIの認知度を上げるため、ブランディング戦略や、そこに紐づいたプロモーション施策・マーケティング施策を再設計する動きを進めており、認知度向上に向けて積極的に取り組んでいます。
高波 パートナーである我々からすると、そういった自社製品のプロモーション活動ができるエルテスが羨ましいです。「自社の製品がこんなに大きな企業に入っているのだ」と自慢できるだけではなく、周囲からの認知が高まれば社員の誇りやモチベーション向上にも繋がりますからね。
森田 私自身も同じ考えで、IRIは世間から必要とされていて、実際に多くのエンタープライズ企業への導入実績があります。これは本当にすごいことだと思うので、そのすごさを当社の社員にも深く理解して欲しいと感じています。
高波 私たちとしても、パートナーという立場から、これからどんどん大きくなるエルテスを近くで見て喜びたいですし、「初期のフェーズから一緒に取り組んできたサービスがここまで成長した」と、今度は私たちが自慢できるような、win-winな関係を築いていくことが理想です。
パートナーと描く、IRIの未来図
――最後に、今後の取り組みやIRIの展望について教えてください。
森田 構想は数多くあります。まずは、パートナー企業の皆様がより販売しやすい環境を整備するために、パートナーサイトのリニューアルを計画しています。提案資料にアクセスしやすくしたり、最新のインフォメーションをアップしたりするなど、コンテンツを整備するだけではなく、案件登録の管理機能を簡易にするといった機能拡張を想定しています。これは今期中に提供まで実現したいです。
また、PoCの定義の再設計も検討しています。チェックシートを作成・活用してPoCの前提条件を明確にすることで、評価基準がぶれるリスクを減らし、受注確度の高い商談を増やしていけると考えています。
他にも、経営層に向けた説明資料の拡充や、中小企業のサプライチェーンを視野に入れたプランの策定などのアイデアも検討しており、内部脅威検知の市場全体の拡大と、IRIの市場浸透を図っていきます。

谷口 IRIはまだまだこれから成熟していくサービスだと考えているので、需要のある層に届けることができれば、一気に広がっていく可能性を持っています。そのためにも、限られたリソースで最大の成果を得るために、IRIのニーズを見極めて戦略的に活動していきたいと考えています。
高波 私は、セミナーの開催など、直接お客様にサービスの魅力を届ける機会を積極的に増やしていきたいです。
太田 それはいいですね、当社としてもぜひすぐにでもお願いしたいです。また、現場の営業としては、今後の事業拡大に向けて、CTCS様の中でIRI専門の営業部隊の設置を実現したいと考えています。
森田 私たちは、パートナービジネスに大きな可能性を感じており、IRIの発展の余地はまだまだ大きく、伸び代しかないと感じています。
なかでもCTCS様は、担当の皆様が自ら学習を重ねて製品知識を深めており、顧客のニーズを非常によく理解されています。メーカーに依存せず、自律的に提案活動を進められる体制を構築されている点は、まさに当社が理想とするパートナー像です。むしろ当社の営業よりも製品理解が深い部分もあり、長年にわたってIRIを扱っていただけていることに心から感謝しています。今後は、こうした自走型のパートナーをさらに増やし、業界全体の成長にも貢献していきたいと考えています。その意味でも、CTCS様はその第一人者的な存在です。

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※1 Internal Risk Intelligence パートナーシップ制度 参加企業一覧はこちら
※2 2020年8月26日付けニュースリリース「CTCSとパートナー契約を締結」はこちら
※3 2025年6月18日付けニュースリリース「株式会社ラック前代表取締役社長西本逸郎氏の事業戦略顧問就任に関するお知らせ」はこちら
プロフィール
高波 明(Akira Takanami) CTCシステムマネジメント株式会社(略称:CTCS) |
谷口 賢吾(Kengo Taniguchi) |
森田 博隆(Hirotaka Morita) |
太田 啓友(Keisuke Ota) |
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