
社内アクティビストチームが描くエルテスの成長ストーリー ―Lean Transformationの狙いとは―
エルテスは、2026年4月27日に新たな3ヵ年経営計画(2027年2月期〜2029年2月期)を発表いたしました。
今回は、「Eltes Lean Transformation 〜量から質へ〜」というテーマを掲げ、2025年10月に公表した戦略転換を伴う経営方針の変更に沿った、経営改革を更に推し進める3ヵ年経営計画に込めた想いや狙いを経営企画部長の奥村さんに解説いただきました。
「Lean Transformation 〜量から質へ〜」の真意
2020年以降、エルテスの祖業であるSNSリスク対策事業が成熟期を迎え、新たな成長エンジンを求めて多角化路線に舵を切りました。約5年間で8社を買収し、警備保障、自治体DX、SES、不動産管理、デジタルマーケティングと事業の多角化を実行してきました。その結果、売上高は当初の5倍近い水準まで成長し、2026年2月期は売上高89億円を超えました。一方で、粗利率は低下し、営業利益額も売上高ほどの成長はせず、減損等子会社業績が当期純利益に影響を与えていました。更に「何の会社か分かりにくい」というイメージが生まれ、株価も低迷が続いていました。この現状を打破すべく、2025年5月に副社長に就任した伊藤を中心に、経営企画部のメンバーで「社内アクティビストチーム」を組成し、アクティビストや機関投資家が求める株主価値向上の目線で経営戦略の検討実行に取り組んでいます。
取り組み開始から既に、収益性・独自性の高いデジタルセキュリティセグメントをコア事業に設定し、成長投資を加速すること、収益性の低い旧DX推進事業のカーブアウトを意思決定し、2026年4月に2社の売却を完了しました。そのカーブアウト発表と同じタイミングで、エルテスが今後3年で進む道を示したのが、この「Eltes Lean Transformation 〜量から質へ〜」です。

Leanは、「引き締まった、無駄のない」を意味する形容詞で、「トヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)」を源流とする、リーン開発という言葉にも用いられています。経営の最重要指標を営業利益額から営業利益率へ変更し、むやみに規模を追うのではなく、エルテスにとって独自性・優位性が高く、マージンの高いコア事業に経営資源を集中させるという強い意思表示とともに、今までケアしきれていなかったバランスシートマネジメントに着手し、財務規律を持ち、資本効率を意識した経営への転換を象徴する言葉として、コンセプトに掲げました。
東証グロース上場の維持基準が時価総額100億円となる2030年のグロース改革を前に、2029年2月期に時価総額100億円クリアを実現する財務指標目標として、営業利益率12%以上、営業利益900百万円、自己資本比率40%以上を目指します。この数字を達成し、当期純利益も5億円程度となることで、PER20倍で時価総額100億円が見えてくるという目線になっています。

量から質への転換を加速する7つの重点施策
この変革を推進するため、7つの重点施策を掲げています。特にポイントとしている施策が「⑤経営戦略に応じた人的資本戦略」と「⑦オペレーショナル・エクセレンス」です。従来の3ヵ年経営計画でも、事業成長のための戦略・施策については開示してきました。しかしながら、その成長を支える人的資本戦略や、全社での収益性を高める全社最適などについて、議論を深められていなかったという反省があります。
これは、各部門の部分最適を優先とするKPI設計になっていることや、人事部門が組織戦略を司り、経営戦略とのズレが存在することなど、組織設計や役割の構造上の問題が原因でした。これらの組織の血流を良くし、人材や組織のパフォーマンスを全社で最大化するため、2026年6月から副社長の伊藤が牽引する経営戦略本部に人事機能を合流し、経営企画部内で全社のオペレーションをマネジメントする機能を強化しました。
ここからは、7つの重点施策のうち、特に重要な施策について、狙いや具体的なアクション内容を説明していきます。
重点施策①:成長事業であるIRI(Internal Risk Intelligence、内部脅威検知サービス)事業の拡大
狙い:全体業績を牽引する高収益な「宝の事業」の成長加速

祖業であるデジタルセキュリティセグメントをコア事業に設定し、経営リソースの集中を図っていく意思決定ができたのは、直近5年のCAGR64.9%と非常に高い売上高成長率を誇り、低い解約率と事業利益率28%という継続性が高く高収益のIRI事業があったからです。営業秘密の持ち出しなどの内部不正領域は、転職が当たり前のキャリア設計、地政学リスクの高まりなどの社会的な背景もあり、今後も社会的な関心が高い領域です。そういった伸びしろのある市場に相対する事業を着実に成長させること、これこそがエルテスの企業価値最大化に欠かすことのできないものです。


一方で、今までのIRI事業は他事業を含めたセグメントの1つになっていました。そのため、マーケティング、採用リソースを集中投下できておらず、また研究開発等に関しても、積極的な投資ができていませんでした。企業として優先順位を定め、共通機能のリソースをIRI事業に優先的・戦略的に投資していくことで、今までとは異なる時間軸で事業成長を成し遂げることが重要になります。前期より事業部制を敷き、営業機能のリソースを明確に分けてきました。今後は更に、デジタルセキュリティセグメントで共通化していた事業企画機能も事業部内に設置することなども検討しており、事業推進のスピードを高めることを狙います。
また、経営企画部配下の広報チームの活動量・質ともに改善を図っており、メディアリレーションも強化しています。実際にメディア掲載事例(※1)も増えており、経営企画部が主体となって事業を前に進めるアクションを取っていきます。
施策⑤:経営戦略に応じた人的資本戦略
狙い:高付加価値を生み出すプロフェッショナル集団への進化

デジタルセキュリティセグメントでは、プライム上場企業などを中心としたエンタープライズ企業のリスクマネジメントを支援しています。私たちの強みは、データをもとにしたインテリジェンススキルを武器に、コンサルティング支援するところにあります。こうした支援を行うには、高い専門性を有し、クライアントビジネスにも精通したプロフェッショナル人材が必要不可欠ですが、その人材が集う組織像まで、全社で議論を深められていなかった反省があります。
まずは、プロフェッショナル人材が集う組織として市場平均を上回る給与の人材比率を高めるために、事業の収益性向上への取り組みと並行して、評価制度の見直しや教育環境の整備を検討します。ニッチ領域のプロフェッショナル人材が集う組織を目指すにおいて、女性管理職の少なさ、平均勤続年数の短さ、キャリアプランの脆弱性などの課題が存在します。こうした伸びしろに対して、経営戦略本部内に人事機能を合流させ、経営戦略と人事戦略の融合で、改革スピードを高めていきます。
施策⑦:オペレーショナル・エクセレンス
狙い:ヒト・モノ・カネの全社最適と、オペレーションの見直しで1人あたりの生産性を業界最高水準へ

類似事業を手掛けるグロース上場企業と比較して、エルテスの1人あたり営業利益は非常に低い水準で推移しています。そこで、顧客への提供価値向上を目的に、業務プロセスや業務品質、ビジネスモデルなどを抜本的に見直す計画に着手しています。更に、全社費用(コーポレート部門)に関しても、KPIや求める水準の再設計によって、部分最適・部署肥大化を抑制し、コスト適正化に取り組みます。その他、基幹システムのリプレイスなども進めており、業務効率を高めるプロセス設計を全社で進め、1人あたり営業利益500万円を超える組織のあり方、業務のあり方、サービスのあり方を再構築していきます。
2027年2月期の業績目標について
7つの重点施策の取り組みを通じて、2029年2月期に時価総額100億円突破を視野に入れた経営計画を進めます。一方で足元の2027年2月期は、売上高85億円、営業利益4.6億円、当期純利益1億円を業績予想としております。

カーブアウト要因、オフィス移転費用による一時費用を除いて、+28%の営業利益のオーガニック成長を見込んでいます。2029年2月期に向けたIRI事業の事業拡大を見据えると、今の市場で確固たる地位を築くことが必要であり、広告宣伝費を積み増すことに加えて、研究開発機能の強化やAI活用などの開発投資、プロフェッショナル人材の養成を目的とした人的資本投資も強化していきます。
一方、このタイミングでオフィスを移転したことで5年先までオフィス費用が固定され、複数拠点に分散していたオフィス環境を統合することができました。床面積は拡張している一方で、家賃総額は低下しております。こういった観点から、基盤を安定させ、収益性向上にもつながるオフィス移転になったと考えており、2030年に向けた利益貢献を見込んでいます。
また、営業利益4.6億円、経常利益3.7億円という予想の一方で、当期純利益が1.0億円となっていることに関しては、M&Aに伴う「のれん償却費」が2026年2月期は約3億円発生しており、これが営業利益を押し下げる要因になっています。また、この費用は現金支出を伴わない会計上の費用ですが、税務上は損金(費用)として認められないため、会計上の利益に対して法人税負担が相対的に重く見える構造となっています。なお、ポートフォリオの再編によって、本件の影響は小さくなる想定です。
今後の決算説明資料や、投資家の皆様に向けた説明会、成長可能性資料等の開示情報を通じて、本3ヵ年経営計画の進捗についても随時お伝えしていく方針です。ぜひ、エルテスに少しでも興味を持っていただき、継続してウォッチいただけると嬉しく思います。
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■ワールドビジネスサテライト(WBS)(放送日2026年4月15日)
■テレ東BIZ(配信日2026年4月23日)
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