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エルテス×グロースパートナーズが描く、企業価値向上と組織変革へのロードマップ

目次[非表示]

  1. 1.企業価値向上を確実なものにするための伴走パートナー
  2. 2.「誇りを持って働ける会社」への再成長プロセス


エルテスは2025年12月、企業価値向上に向けた変革のパートナーとしてグロースパートナーズ社と業務資本提携を結び、今年度からは代表の古川徳厚氏を社外取締役としてお迎えしました。

「時価総額100億円達成」を行使条件とする新株予約権の発行など、極めて意欲的な内容となった今回の提携。
なぜ古川氏はエルテスとの提携を決断したのか――その背景や理由をお聞きしました。さらに、副社長の伊藤さんとの対談を通じ、経営陣が描く将来像や企業価値向上に向けたリアルな取り組みに迫ります。

企業価値向上を確実なものにするための伴走パートナー

――まずは、古川さんご自身のこれまでのキャリアについてお聞かせください。

古川 実は中学・高校は伊藤さんと同じ学校でして、そんなところでも縁があると感じています。私自身の経歴としては、大学・大学院で宇宙やロボット工学といった理系分野の研究をしていました。その後キャリアの方向転換をして、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社しました。マッキンゼーでは、売上数兆円規模の大企業を対象とした3ヶ月程度のコンサルティングプロジェクトを、累計12社ほど担当させていただきました。

その後、日本におけるプライベート・エクイティ・ファンド(以下、PEファンド)のパイオニアであるアドバンテッジパートナーズへ移り、12〜13年ほど勤務しました。特に後半の6〜7年間は、上場企業への出資およびハンズオン支援を通じて企業価値を高めるファンドの投資責任者を務め、累計で40社以上の案件やバイアウト案件に携わりました。こうした経験を経て、約3年前にグロースパートナーズを立ち上げた、という経歴です。

――グロースパートナーズの事業概要について教えてください。

古川 上場企業への出資とハンズオン支援(経営伴走型支援)、そしてバイアウトファンド(買収ファンド)の運営を事業の柱としています。現在までに運用資産規模は200億〜230億円に達し、上場企業15社、未上場企業5社への投資実績を積み重ねてきました。創業から約3年と、まだ若い会社ではありますが、インターンやアシスタントを含めたチームメンバーも12名ほどの規模に拡大しています。

弊社の最大の特徴は、単に資金を投じるだけでなく、投資後のハンズオン支援に社内リソースを大きく割いている点にあります。投資先企業の現場に深く入り込み、経営や事業に対する理解を深めたうえで、真の企業価値向上をサポートしていくことが、私たちグロースパートナーズのアイデンティティです。

現在、日本には数多くの上場企業がありますが、成長の伸び悩みや一時的な業績不振に直面している企業も少なくありません。また近年では、東京証券取引所からも上場企業に対して企業価値・時価総額向上への要請が強まっています。そうした背景を踏まえて、私たちは主にグロース市場やスタンダード市場に所属する企業を対象に、プライム市場への引き上げを支援していくことに強い意義とやりがいを感じ、事業に取り組んでいます。

――グロースパートナーズとして、どういった企業をターゲットにしているのか、その中で今回エルテスを投資対象として選んだ理由を教えてください。

古川 私たちグロースパートナーズでは、上場・未上場、BtoB・BtoCを問わず、特定の市場やサブセグメントにおいて上位のシェアを占めるなど、確固たるポジションを築いている企業を投資ターゲットの基本方針としています。それがニッチトップでも構いません。一定の顧客層に深く刺さる強みがあり、今後も継続的な購入意欲が見込める事業基盤を持っているか、という点を重視しています。

その観点において、エルテスはデジタルリスクという市場、とりわけ、企業にとって深刻な課題である営業秘密の持ち出しという内部脅威対策の分野で、すでに非常に強固なポジションと豊富な顧客基盤を確立されていました。この揺るぎない基盤となるコア事業が存在していたことが、投資判断を前に進めた最大の理由です。

そしてもう一つ、私たちが投資を行ううえで欠かせないのが、経営陣の方々にも時価総額を高めていこうというモチベーションや目標があること、そして、私たちが伴走していく中で、一つのチームとしてシナジーを生み出せるフィット感があるかどうかという観点です。今回の提携は伊藤さんからのご紹介が大きなきっかけとなりましたが、対話を重ねる中で「この経営陣の皆様とならば、一緒にエルテスの企業価値を高めていくことができる」と確信できたことが、最終的な決め手となりました。

――伊藤さんからお声がけがあったということですが、伊藤さん・エルテス目線での打診の背景や経緯もお聞かせいただけますでしょうか?

伊藤 私が上場企業の個別株投資を始めた頃、様々な企業を調べるなかでアドバンテッジアドバイザーズという名前を頻繁に目にしました。調べてみると、上場企業に対して出資とハンズオン支援を行い、企業価値を引き上げるPIPEsという手法に取り組まれていることを知りました。さらにリサーチを深める中で、古川さんがグロースパートナーズを立ち上げ、その手法をよりスモールキャップ(小規模上場企業)向けに展開されていることを知り、非常に面白い仕組みだと興味を持ったのが最初の前提としてあります。「この仕組みをエルテスでも活用できれば、非常に大きなインパクトを生み出せるのではないか」と構想を描くようになりました。

もともと古川さんと直接の知り合いだったわけではないのですが、同窓で在学時期も重なっていたため、お名前やアドバンテッジパートナーズにいるという存在自体は以前から認識していました。実際に接点が生まれたのは、東大の資本市場に関する勉強会でした。そこでは、「上場企業が時価総額100億円の壁を超えられずに苦戦する中で、成長を加速させるような伴走型プレイヤーがいない」という課題が議論されていました。ベンチャーキャピタルは上場までを支援しますが、上場後の成長を手厚くサポートする存在は市場にほとんど存在しません。その場で私が「まさにその課題を解決しているプレイヤーとして、古川さん率いるグロースパートナーズという会社がある」と話題に挙げたところ、勉強会にお招きすることになり、直接お話しする機会を得ました。

――グロースパートナーズのような手法は、まだ市場での理解を得るのが難しい側面もありますよね。

伊藤 そうですね。プライム上場の有名企業でも同様の取り組みが行われていますが、個人投資家の反応や掲示板などを見ていると、この取り組みの意図や構造がまだ十分に正しく理解されていない印象を受けます。一般的なPEファンドのように会社を買い取って非公開化するのではなく、上場を維持したまま参画し、ハンズオンで企業価値を引き上げていくという手法が、企業や株主にとってどのような好影響をもたらすのか。その本質的な意味合いや効果が、まだ一般的に認知されていないのかもしれません。

だからこそ、私たちがこの取り組みを通じて明確な成果を出し、上場ベンチャーにおける新しい成長モデルの証明として発信していく意義があると感じています。

――今回の業務資本提携は、「時価総額100億円達成」を一部新株予約権の行使条件とするなど、かなり意欲的な内容ですが、その背景・経緯を教えていただけますでしょうか?

古川 私たちのファンドは、基本的に株価の上昇によるキャピタルゲインでリターンを得る構造になっています。直ちに大規模なキャッシュが必要な企業であれば、転換社債などで一括注入するアプローチを取りますが、エルテスの場合は本業のデジタルセキュリティ事業でしっかりとキャッシュフローを生み出せる基盤をお持ちでした。また、セキュリティ分野はポテンシャルが非常に高い領域であり、過去に私が支援してきた企業のベンチマークと比較しても、事業の選択と集中を行い、構造をよりシンプルで分かりやすいものへと再編していけば、時価総額の向上は十分に図れるという見立てがありました。

伊藤 エルテスとしても、今すぐお金が必要だからファンドと組む、ということではなく、大きな経営改革を確実にやり切るための伴走パートナーとしての参画をお願いしました。実は当時、社長の菅原からは「伊藤さんが戦略の方向性を作ってくれるのだから、グロースパートナーズに入ってもらう必要はあるのか?」という意見をもらいました。しかし、描き出した構造改革をやり切り、企業価値向上を確実なものにするための伴走パートナーとして絶対に必要な存在だと説得し、また、業務をともにするエルテス社員にも外部からの刺激として良い要素になると思い、正式に参画していただきました。

「誇りを持って働ける会社」への再成長プロセス

――ここからは、具体的な支援内容についてお伺いしていきたいと思います。現在進行しているプロジェクトの内容と進捗についてお聞かせください。

伊藤 提携スタート後、まずグロースパートナーズにはマネジメント層へのヒアリングをクイックに実施していただきました。第三者視点から課題を可視化していただいたことで、社内の経営課題の全体像を整理するうえで非常に役立ちました。その現状分析を経て、最優先課題として設定したのがカーブアウトを軸とする構造改革です。現在もプロジェクトは進行中ですが、多角的なアドバイスや情報提供をいただきながら推進しています。さらに並行して着手しているのが組織改革と、IRの強化です。特にIRに関しては、グロースパートナーズとの議論の中で日々の開示資料を先回りしてブラッシュアップしていくプロセスを取り入れており、非常に大きな価値を感じています。

そして、構造改革の目処が立ちつつある現在、次の大きな山場として見据えているのがコア事業である内部脅威検知サービス(IRI)の成長戦略づくりです。ここでの施策が成果として現れてくれば、会社の成長スピードは明確に加速すると確信しています。

古川 プロジェクトは非常に順調に進んでいると感じています。カーブアウトの進捗に加え、コア事業の成長プロジェクトにも弊社のメンバーが会議に入り込み、現場の皆様と深く連携させていただいています。
また、IR面については伊藤さんを中心に自発的に動かれているため、私たちとしても非常にサポートしやすい環境です。ここ数年は飛び地でM&Aをしていたり、BS・借入金が膨らんだり、一般投資家から見てどういう方向性に行くのか読めない会社になっていたかと思いますが、ここ3~4か月で高頻度かつ丁寧なIR開示を行い、明確な経営の方向性を打ち出されてきました。透明性を高く保ちながら、上場維持基準の適合や企業価値向上に向けて誠実に向き合う姿勢が可視化されたことこそが、非常に大きな進展だと思います。

――実際に着手していただき、投資前の想定とのギャップなどはありますか?

古川 良い意味でのギャップが大きかったと感じています。支援に入らせていただく企業によっては、経営陣や社員の意識を売上重視から利益重視へとマインドセットさせるだけで半年から1年ほどかかるケースも少なくありません。事業売却やポートフォリオ再編は特に大きな経営方針の転換となるため、創業社長や経営陣にとって痛みを伴う判断になることも多く、社内の目線を揃えるアライメントの部分で苦労することが多いです。しかしエルテスの場合、伊藤さんを中心に、経営陣の中でコア事業であるデジタルセキュリティに集中するという地ならしと意思決定が既にできていたため、弊社としても非常にスムーズにプロジェクトへ着手することができました。また、現場のメンバーの皆様も大変優秀で、弊社のメンバーと協同してスピード感をもって推進できる環境が整っていたのは、大きなプラスのギャップでしたね。

――経営戦略の中で核になってくるデジタルセキュリティ事業を伸ばしていくにあたって、今後どのあたりがポイントになってきそうでしょうか?

伊藤 内部脅威対策やデジタルセキュリティに対するニーズは間違いなく存在しており、実際に大手企業にも導入いただいています。しかし、現状はまだ導入社数自体が限定的であり、潜在的な市場に対してサービスの価値を適切に届けきれていない側面があります。今後は、より多くの企業様にスムーズに導入いただけるプロダクト構成やサービス設計、プライシング(価格戦略)の構えへと進化させていく必要があります。価値提供のあり方自体を再定義することで、一気に市場シェアを獲得していける大きな伸び代があると捉えています。

古川 これまでは事業の多角化を進めてきた影響で、競合の存在するコア事業に対する投資やサービスのアップデート、採用・人材教育といった面でリソースが分散し、手薄になっていた部分があったと考えています。非コア事業のカーブアウトを進めることで、経営陣や社員のマインドセット、そして経営リソースをコア事業へと一元化し、集中できる環境が整いつつあります。ここから骨太の成長方針をつくり上げ、実行に移していくことで、確実な事業拡大に繋げられると考えています。

――現状の組織課題や今後の組織改革についてはいかがでしょうか?

古川 これまでは事業の多角化や複数の子会社運用に伴い、間接業務やバックオフィスへの負担が大きくなり、組織全体として肥大化・複雑化していた側面がありました。今後はコア事業への集中を進めると同時に、間接コストを抑えたリーンな組織体制へと移行していく必要があります。そのうえで、最前線で事業成長や売上創出に直接貢献する人材の比率を高めていくことで、組織全体としての生産性や収益性は大きく向上していくと考えています。
また、成果に報いるインセンティブ設計の再定義や、企業の目指す姿を明確にするコーポレートブランディングの推進も重要です。エルテスで働く魅力が社内外へクリアに伝わることで、優秀な人材の採用強化や離職防止につながり、組織として非常に良い成長循環を生み出すことができるはずです。

伊藤 事業が多角化したことによって、エルテスが何の会社なのかが曖昧になり、企業のアイデンティティやエッジが薄まってしまっていた部分があると感じています。だからこそ、コア事業にフォーカスしてエルテスの独自の立ち位置とアイデンティティを再定義することが何より大切です。自分たちの会社や事業に対するエッジが明確になれば、メンバーの中に愛着や誇りが再び醸成されていくはずです。

事業の焦点を絞り、業績を大きく向上させることで、社員への処遇や還元もさらに良くしていくことができる。事業・ポートフォリオ戦略の再構築をすべての起点としながら、組織の活性化やエンゲージメント向上へと波及する強固な好循環をつくり上げていきます。

――最後にエルテスの社員や採用候補者に向けてメッセージをお願いいたします。

伊藤 現在エルテスは、経営戦略を明確に打ち出し、大規模な改革の渦中にあります。このフェーズの上場企業において、自らの手で変化を起こしていく経験は滅多に得られるものではありません。上場企業として高い透明性のもと情報開示を行いながら、会社が大きく変わっていくプロセスを間近で体感できる。そして自分の仕事が、どのように企業の戦略や価値向上に直結しているのかをダイレクトに実感できる。これは、いまのエルテスで働く最大の魅力であり、非常に面白みのある環境だと自負しています。

古川 エルテスには、非常に大きなポテンシャルがあります。市場からの高い信頼と優れた収益性を誇るデジタルセキュリティという強力なコア事業を、すでに自社で保有していることは最大の強みです。ゼロからコア事業をつくり出す必要はなく、すでに存在する強みを解き放つことで、短期間で劇的な変化を遂げられるチャンスがあります。伊藤さんを中心に、私たちも伴走しながら構造改革を成し遂げ、市場や周囲から「エルテスは本当に面白い、素晴らしい会社だ」と称賛され、社員の皆様が「自分たちは誇れる会社で働いているのだ」と自信を深めていただけるような未来を実現できると確信しています。

新しく加わってくださる方にとっても、大きなチャンスと挑戦の機会が溢れているフェーズです。社員の皆様、そしてこれから仲間となる皆様と一丸となり、エルテスの企業価値を飛躍させる改革に共に取り組んでいけることを心より楽しみにしています。

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プロフィール

古川 徳厚(Noriatsu Furukawa)
株式会社エルテス
社外取締役


東京大学大学院卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社。その後、株式会社アドバンテッジパートナーズにて成長戦略の策定など企業支援に従事し、2017年にはアドバンテッジアドバイザーズ株式会社の取締役に就任、上場企業成長支援プライベート投資ファンドの責任者を務めた。2022年にグロースパートナーズ株式会社を設立し、代表取締役を現任。2026年5月にエルテスの社外取締役に就任。

伊藤 豊(Yutaka Ito)
株式会社エルテス
取締役副社長 経営戦略本部長

2000年に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。システムエンジニアの経験の後、関連会社での新規事業企画・プロダクトマネジャーを経て、本社でのマーケティング業務に従事。2005年にスローガン株式会社を設立、代表取締役に就任。2023年5月にエルテスの社外取締役、2025年5月に経営管理管掌の取締役副社長に就任。

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